※ジョナディオ・ジョセシー・承花のシェアハウスする現代パロ。
前半は承花いません。


00:ジョースター家の朝は早い

某所の一角に1軒の平屋がある。
家を囲うようにされた塀に設置された赤いポストの横にある木製の門を押してなかにはいると落ち着いたクリーム色の壁と正反対に緑色の扉。
リビングの中はキッチンから漂うパンの焼ける甘く香ばしい匂いで満たされている
それぞれが各々の過ごしたいように過ごす朝
そんな優雅な雰囲気を壊すように聞こえてくるのは

「ジョナ兄イイイイイイイイッ!!!!!朝起こしてっつったじゃあねーか!!!」

バタバタと廊下を走る音が聞こえてきたかと思えば壊れんばかりの勢いで扉が開かれる。入ってきたのは起きたばかりなのか、寝癖もそのままに焦っている様子のジョセフ・ジョースターだ。特に気にしないようにキッチンから顔だけ出してジョナサン・ジョースターが困ったように笑う

「おはようジョセフ。僕は何度も起こしに行ったじゃあないか。」
「寝てた本人が起きてねーんだから起こしたことにならねえんだよォ!あぁーもー!」
よくわからない自論を言いながらバタバタと慌ただしくリビングの中を走り回っているのを見て呆れたようにソファに座ってテレビを見ていた二人が顔を上げた
「うるさいぞジョセフ。大体、自分の力で起きれん貴様がいけんのだろう。」
そう言いながら足を組み直したのはディオ。不機嫌そうな―もともと目つきの悪い―彼の瞳にかかる金髪が一度キラリと輝いた
「うっせえなぁ!ディオには関係ないもんネーッ!!どうせオメーも今起きた所なんだろぉーっ!」
「いや、ディオさんは朝早くからここにいたぞ」
ディオの向かい、ジョセフに背を向ける位置に座っていたシーザーが口を開く。ディオの金髪とはまた違う金髪―ディオの髪色を黄金と例えるなら、シーザーは白に近い薄い金色だとジョセフは思う―がふわふわと揺れている
「朝から庭の手入れをしてくれたよ。ここ最近僕も忙しくて手が出せなかったから、助かったよ」
「ふん、貴様なんぞに任せていたらいつになるかわからんからな」
「ふふ、はいはい。」
「というわけでジョジョ、今日のビリっ欠はお前だぜ」
「オーノーッ!まじかよ!」
大袈裟に両頬に手を当てながら驚いたような仕草をするジョセフ

「で、お前はさっきから何探してるんだ。」
会話を続けながらもリビングと隣接された脱衣所を行ったり来たりしている。また脱衣所に向かいかけたジョセフが立ち止まる。
「俺のネクタイがねえんだよぉ~!シーザーちゃん洗濯とかしてなぁい!?」
その言葉を聞いた瞬間にシーザーの表情が信じられないというように目を見開いて固まる。
「…ん?何?」
「…ジョジョ、冗談だよな…いや、流石のお前でもそんなアホなこと…」
「え?なんだよぉ~!今俺チョー困ってるんだけど!?」
「ジョジョ、落ち着いて聞けよ。」
「な、なんだよ…」
二人の間で妙な緊張感が漂う。シーザーが意を決したように口を開いた

「その手に持ってるのはなんだ?」

言葉の意味がわからないというようにジョセフは2度瞬きをしたあと自分の左手に目をやる
「え…あっ」
「はい、ご飯だよー」
ジョナサンの声と香ばしいトーストの匂いで1日が始まった。




「あっそういえばねぇ」
「口の中のものを飲み込んでから話せジョジョ」
ディオに言われたとおりにしばらく黙って咀嚼したあとゴクン、と音を立てて飲み込んでからジョナサンは続けて話し始める
「週末に新しく住人が来るんだよ」
「えっこの時期に?」
季節は既に5月。進学就職と引越しのピークはもう1ヶ月前だ。
「そうですね…進学とかだったらもう4月とかに引越しは済ませるはずですし……」
「うん。実はね来るのは承太郎とその教え子なんだよ。ジョセフは知ってるんじゃない?」
「あーあいつだろ?えっと……か…かきょ…」
「花京院」
「それ!カキョーイン!」
ビシッと効果音のつきそうな勢いで箸を向かいの席に座っているジョナサンにつきつけたところを隣にいるシーザーに怒られる
「ジョジョっお前なぁ!」
「あーメンゴメンゴ。で、花京院がなんだって?」
「んと……花京院くんがね、承太郎のいる大学に進学が決まったんだけどね、進学が決まったのが本当に遅くってアパートとか探すのが間に合わなかったんだって」
「え…えぇ……何それ…」
「承太郎もまさかそんなことになってるとは思わなかったらしくてね…受験勉強を手伝ってた身としては変に罪悪感感じちゃって今まではとりあえず承太郎のアパートに暮らしてたんだけど、なんかものすごく遠慮しちゃって…ほら、光熱費とか承太郎が全部出してるのが嫌だったみたいでね。」
「それで引っ越そうって?」
「そ、さすがに学生に半分出させるのは嫌だからどうしようって困ってるとこに僕が声かけたのさ。部屋も十分に空いてるしね」
そこまで話しきって満足したようにトーストを囓る。ディオは事前に聞いていたしジョセフも理解したのかふぅん、と鼻から抜けるような返事をする。これで話は済んだとばかりに落ち着いている3人の中で一人だけ理解できないシーザーがわたわたと視線を泳がせている。
「あ…あの」
「ん?どうしたんだい?シーザー」
「えっと…そのジョータローって誰なんですか…?あと、カキョーイン」
おどおどと喋るシーザーの横でジョセフがけらけらと笑い始める
「ハハハ、シーザーちゃん超カタカナ発音」
「貴様も似たようなもんだったぞ?ジョセフ」
「あー…そっかシーザーはあったことないもんね。えっとね、承太郎はジョセフの弟で海洋学を専門として教師をしてるんだ。」
「へぇ…海洋学」
少しばかり口元が緩む。
「シーザーちゃん魚とか好きだもんね。水族館しかデートいかないもんね。」
「次デートって言ったら殺す。」
表情とは裏腹に冷たい声で言い放たれた言葉にジョセフがぶつぶつと言いながらコーヒーのカップを揺らす。僅かに残ったコーヒーは冷め切ってしまった。

「そ、それでね。花京院くんは承太郎が研修生だった時に行った高校にいたんだよ。確か1年生だったかな…?うん。それから仲良くなったみたいだよ。」
ちょうど知り合ったくらいでそんな同居するほど仲良くなるものだろうかと思いながらも大体のことは理解した。
「そうなんですね。ありがとうございます」
「いえいえ。ともかく今週の日曜は二人の引越しの手伝いとお祝いだから早く帰ってきてね」
「えーっ引越しの手伝いもすんのかよっ!!」
「当たり前だろう?君らが来た時も手伝ったよね」
「う…そうだけど…めんどくせぇ」
語尾になるにつれて声が小さくなるジョセフの頭を軽くシーザーが叩く
「まぁいいじゃないか。普段の恩返しだと思って」
「んー…まぁいいか。」
そんな二人をみてディオが鼻で笑う
「ふん、お前の恩なんて一生かけても返しきれんだろ」
「なっなんだとォー!?」
「ジョセフ!ご飯中!」
「ジョジョ!座れ!」
ジョナサンとシーザーの怒声が綺麗に重なって、その威圧感でジョセフはおとなしく座りなおす。
それをみて満足したようにジョナサンは笑顔で話し始める
「じゃあ、そういうことだからよろしくね。」
「はい」
「へーい……そっかぁ承太郎と花京院が来るんだなぁ……まぁなんだかんだいってもあれだな。」


「楽しみだなぁ」
「楽しみだねぇ」

ジョセフの言葉にジョナサンがのんびりと繰り返す。それに特に反応はしないけれどコーヒーカップに目をやるディオとどこか楽しそうにしているシーザー。いつもの光景だ

「…ところでジョセフ」
「んー?」
「時間は大丈夫か?」
「……」
ディオに言われて時計に目をやるといつも家を出る時間より5分オーバーしていた

「ああああああああっ!!!」
「ばっ……ほら!早く行け!」
「もー!ジョセフはいつもそうやってぇ!!!」
「もとはと言えば起こしてくれなかったオメーらがいけねえんだぜっ!!」
「だから起こしたってばァ!!」
「チクショーっ!!行ってくるぜ!」
「気をつけろよー」
バタバタと出て行ったジョセフを送り出して数秒の沈黙のあとシーザーが溜め息を吐く。
「ふぅ、やっと落ち着いた…」
「あはは、そうだねじゃぁ僕らも仕事しようか。ディオ、出来たら引き続き庭の手入れをしてほしいな。」
「あぁ。」

こうしてそれぞれが仕事に向かう。
今日も1日が始まるのだ。





JLDK!00:ジョースター家の朝は早い end

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ジョナサン・ジョースター(30)
ジョースター家長男。
おっとりした性格でしっかりもの。食卓マナーがちょっと悪くてディオにしょっちゅう怒られる。
基本おとなしいが怒らせるとしばらくトラウマになるレベル。

考古学の研究をしながら家事をしている。いわゆる主夫。
ディオとは幼馴染。ディオに嫌われてないといいなぁって思ってる。

ディオ・ブランドー(30)
ジョースター家養子。
高飛車っぽいところがあるけど基本的になんでもできるお兄ちゃん。ただ態度が悪いだけ。
基本的にニートしてる。たまに経済雑誌とかの記事の仕事見つけてきてはやってる。
ジョナサンのことは別に嫌いじゃないけど長年の冷たい態度のせいでぎゃくにどうしていいかわからない。


ジョセフ・ジョースター(26)
ジョースター家次男。
お気楽そうに見えて色々考えてる。本当に悩んでると表に出さないからたまに爆発する。
大手のCDショップの本社で仕事。邦楽が好き。
シーザーは大学時代の先輩。なんだかんだ言って構ってくれるシーザーが好き。

シーザー・A・ツェペリ(28)
ツェペリさん。今のところ住人の中でジョースター家じゃない。
生真面目なお兄さん。ジョナサンのことはすごく尊敬してる。
家にいながらコピーライターのお仕事をしてる。
ジョセフは最初あった時に馴れ馴れしくてなんだこいつって思ってたけど今は仲良し。割と好き。


こんなかんじで進みます。多分飽きなければ

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