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Q26. 好きなタイプはどんな人ですか?
A.星みたいな人が好きです。星みたいに傍で照らしてくれる人
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昼休み、和気藹々と昼食を楽しむ声で賑やかさを増す校舎。
そんな雰囲気お構いなしにバタバタと走る足音が響くそしてその足音の主はある教室の前でピタリと止まる

「ちょっとシーザーちゃんこれどういうこと!」

騒がしい音を立てつつ乱暴に扉をあけたかと思えば教室中に響きわたる声で訪ね人を呼んだ。
本人を表すように跳ねるブルネットの髪と焦りで歪んだ眉 190超の身長―ジョセフ・ジョースター考古学教師のジョナサン・ジョースターの弟でもある彼のことを知らない生徒はいないだろう

「何だいきなり。ノックぐらいしろよ」
パタパタと特に焦る様子もなく教室から出てくるのはシーザー・A・ツェペリ。
ゆるく巻かれた金色の髪をフワフワと揺らしその海の色をそのまま移しこんだような大きな瞳。目の下の痣も彼女を引き立てるポイントでしかない。

「何だじゃねーよッ!なんだよこの記事!どういうことだ!」
「え?あ………あぁ」
バッと目の前に突きつけられた雑誌のとあるページにシーザーは今日だったか…と小さく呟く
「スモーキーが見せてきたんだよ!何だこれ!俺知らないんだけど!」
「落ち着け、言いたいことはわかったから」
雑誌の内容はこうだ
『突撃!街で出会った可愛いあのコにインタビュー!』という煽り文句が書かれたページにシーザーが載っている。
白生地に細かい赤の花柄をちらしたマキシワンピースを着て足元には向日葵の飾りがあしらわれたサンダルを履いている。どちらも肌の白いシーザーによく似合っている。その表情は楽しそうに笑っていて可愛らしく、これから夏真っ盛りになる季節にぴったりな写真だ。
後は名前と生年月日身長と趣味なんかがプロフィールとして載っており隣のページにはインタビューが載っている

「なんだよコレェーッ!!いつ!?これいつ撮ったの!?」
「ええっと……スージーQと映画行った時だから…二週間前かな」
「その時点で俺に報告なかったじゃん!」
「言ったらどーせギャーギャー言うだろ……」
「言うわ!俺をなんだと思ってんの!?彼氏だぞ!?彼女がこんなん載るなんて反対だね!!」

195cmのやんちゃ1年生と校内一の美女である3年シーザー。ただでさえ目立つ二人が付き合っていることを知らない人間はおそらくこの学校にはいないだろう。そしてこの光景もなれたものなのでクラスメイトたちは特に反応も示さない。

「あら、それ私もまだ見てないのよ〜!可愛く写ってるわねぇ」
シーザーの後ろからひょっこりと顔を出したのはシーザーの友人であるスージーQだ。お互い素直になれずすれ違っている二人をくっつけたのは彼女だ
「そ〜いう問題じゃねぇぜスージーQ!」
「なぁに?ジョジョは気に食わないの?すごく可愛くない?」
「超可愛いです!」
「もうなんか戻ってご飯食べたい……」
「あっ!まだ話は終わってねーぞシーザー!」
無理矢理ジョセフを教室の外へ押しやってピシャンと扉を閉める

廊下でシーザーの名前を叫んでいるところをジョナサンに怒られたのと同時に予鈴が鳴った

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「ジョージョ」
「……」
「ジョジョー?おーい?」
「…」
「ジョジョー」
いくら呼んでも反応を示さないジョセフの背中にうりうりと頭を押し付ける。いつもならここで「もうシーザーちゃんかわゆい!」とか言いながら飛びついてくるのだが相当へそを曲げているのか何も言わない。

結局あのあと放課後に合流したらジョセフは機嫌を損ねていて家につくまで一言も喋らなかった。
一旦荷物をおいて着替えてからジョセフの家に行くとジョセフの弟であるジョルノが出迎えてくれた。
「すごく機嫌悪いんですけど…何かあったんですか?」
「あーちょっとね、拗ねちゃった」
「子供ですいません本当に……どうぞ」
そう言いながらジョルノは丁寧に玄関までエスコートしてくれた。よくできた弟である。
そのままジョセフの部屋に行ってみるとノックをしても反応がない。鍵を開けるとベッドに横になっていた。
寝ているかとも思ったが肘をついたまま壁の方を向いているので起きている。そのまま近寄ってスペースの十分にあるベッドに横になる

「まだ怒ってるの?」
「……」
「しょうがないじゃない。断れなかったんだもん」
「……」
反応がない。どうしたものかと思っていると重く口が開かれた
「あのね」
「なぁに?」
「二人きりになると女の子口調になるところが好き」
「うん…?」
ジョセフと自分以外になると安心からかいつもの男勝りな口調が消えることに気づいたのはつい最近だ。
いきなりその話を持ち出してどうしたのだろう。
「あと、こうやって甘えてくれるとこも可愛くて好き」
「え……何いきなり」
「別にね、俺はシーザーがこれに載ったのはそこまで怒ってないよ。ただ、」

俺が気に食わないのは 断片的にしか知らないのに言い寄ってくる男達だ

聞こえた声が低く冷たくゾクリとする。
確かに今日は学校に着くやいなやいろんな人間に声をかけられた。
同級生、下級生、先生ととにかくいろんな人にすごいだの見ましただのと言われた。
メールアドレスを聞いたりしてくるものもいた。丁重に断りはしたものの、あまりのことに手一杯だった。だから男子生徒が多かった事、意味あり気な視線に気づかなかったのかもしれない。

「今日さ、すれ違う男みんなシーザーちゃんの話してた。どんな事言ってたかは言わないけどわかるデショ?」
「……まぁ」
わからないほど馬鹿じゃない。素直に頷いておく
「それ聞いてさ、こんな2ページだけで知った気になって付き合いたいだとか下衆なこと言ったりとかしてるわけ」
「うん…」
「笑っちゃうよな。一番シーザーのことわかってるのは俺だ」
「ごめん」
急に愛おしくなってギュッと腕を回して抱きつくとその上から手を重ねられる
「まぁ全員俺が叩きのめしたから明日とかは全然減ると思うよ」
「ん……」
「あと、すごい似合ってたと思います。あんなの持ってたのね。」
「スージーQと買い物したときに買ってそのまま着て歩いてたんだ」
「そう。また着てくれる?」
「うん……ありがとう」
さっきよりも強く抱きついて消えるように大好きと呟く。そうすると我慢しきれなくなったように寝返りをうって正面から抱きしめられる
「んもー!超可愛いー!」
「ひゃ!やめて!まだ汗流してないから!あと暑い!」
ギャーギャーと笑いながら暴れる。今日初めて笑った顔を見たかもしれないなと思った。
しばらくするとハッとしたように急に目が合う

「そういえばあのインタビューなんなの?Q26」
「え、あっ!あーはは……何でもない」
「シーザーは嘘をついている」
焦りからあっちこっちに視線が泳ぐ。あぁだから見られたくなかったのに!と心底後悔する
「ねーどーいう意味なのあれー 」

諦めて腹をくくってしまおうとじっと目を見つめる
「え、何」
「ずっと傍で離れずにいてくれて、強くてたまに流れ星みたいにフラフラ行っちゃって心配になる」
「シーザーちゃん?」
「極めつけは背中に星を大事にしてる……ここまで言ってわからないほどバカじゃないよね、ジョセフは」
「…………ごめんなさい」
「んもう大好き!」
今度はシーザーが抱きつき返す番だ。真っ赤になる恋人が可愛くてずっと笑いっぱなしだった。


次の日の朝学校に着くと傷だらけの男子生徒に土下座されるハメになるのはまた別のお話


-Fin-
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一生やっとけ!
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