あるところに二人の男がいました。
一人は19歳
一人は14歳
二人は兄弟のように仲が良く、いつも楽しそうでした
それが、
暗く長い話の始まり
『おとぎ話から程遠い』
「あ゛ぁーっ!!!」
8月の始め 蒸し暑い空気と青い空と蝉の声
ただでさえ暑苦しいくて何もする気にならないのに少年は見て取れるほどに苛ついていた
「なんだよ皆祭りだプールだって!!そんなにイチャつきたいか!!」
「4号は相手がいないんですねぇ……」
「うっさい!!!!」
隣で涼しげに笑う男に4号は苛立ちをぶつける
「大体しど兄は彼女とかいないの!?ずーっとふらふらしてさー」
「ふらふらじゃなくてそれなりに色々目的持ってますよ……
そうですねぇ、いませんね。手のかかる弟分もいますし」
「…………誰のことだよ」
「さて、誰ですかねぇ」
不満げな4号とケラケラと笑うしどのこ
しどのこは旅に出ることが多かった
ある程度の資金を貯めては長期間旅に出る
色んな話と写真と土産を持ってこうして戻ってくるのだ。
それが4号は好きだった
一緒に付いてくと言っても姉として自分を面倒見てくれるまどつき達、
何よりもしどのこ本人に断られるのだ。
それでも戻ってくると必ずちゃんと戻ってくる
手に取ってわかるように話をしてくれる
そんな兄のようなしどのこが好きだった
「はぁもうなんか男でも女でもいい………恋人ほしい」
「モラルもクソもありませんね……」
だから
「じゃあ」
こんなことになるなんて
「僕と付き合ってみます?」
「えぇ?」
「お試しってことで。もしかしたらその間に本当に好きな人ができるかもですし」
「えーそうしたらしど兄はどうすんのさ」
「そりゃ遊びですから。4号を応援しますよ」
「んー」
しどのこはいつもの調子でニコニコしながら話している
いまいち読み取れない表情は変わらない
4号は少し考えて答える
「あはは、いいよ。うん。俺しど兄好きだし。」
「じゃぁ、今から二人は恋人ってことで」
「うん、よろしくね」
「こちらこそ」
あるところに二人の男がいました。
一人は19歳
一人は14歳
二人は兄弟のように仲が良く、いつも楽しそうでした
二人はある日ゲームを始めます
二人は恋人関係にある
どちらか一方に好きな相手ができたら終り
どちらかがリタイアをしたら終り
期限は無期限
明日終わるかもしれないし
いつまでも終わらないかもしれない
そんなゲーム
他人にはバレないように水面下で波も立てずに
そのときはまだゲームで済むとは思わずに
もっと黒く淀んでいくことも知らずに
おとぎ話から程遠い
薄暗く長いお話の始まり
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前回のあとがきを無理に形にしたのがこちら。
んー_(:3 」∠)_なんか違うなー
しど4は明るくイチャイチャしてほしい。
4号の中の『好き』はただの家族にあるような好きなんです
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