どんな言葉で始まっただろうか
確か君が恋人が欲しいと言ったのだ
周りの友人が羨ましいと言ったのだ

昔から可愛い弟だと思ってた
どうしよもなくフラフラとする自分の後ろをちょこちょこついてくる
ただそれが嬉しかったのだ

だから

「あーもうなんかこの際男でも女でもいい……」

なんて言わなければ自分はここまで
こんなにも





『ライン』

「別れてください」

その夜はみんなが集まって飲み会をしていた
飲み会というかただ自然に全員が集まったというか
みんなが酔い始めた頃4号が自分を呼んだ
何だか一日どこか悩んでいたから相談だろうと思ってついて行った
部屋に入って床に座り込む
男の割には綺麗に片付いていたが必要最低限のものしかない部屋だった

「4号どうしたんです?」

一向に話を始めようとしない彼の代わりに切り出す

「あ、あの……もしかしたらしど兄は……怒るかもしれない」

自分が怒るようなことを彼はしたのだろうか。
そういえば彼に怒ったことはあまりないかもしれない
何か壊したりしても少し注意したくらいだ。怒るとしたら彼が危険なことをしたときくらいか
なんて的外れなことを考えてる場合じゃなかった


「? 怒りませんよ? どうしました?」

自分の言葉に申し訳なさそうに目を逸らしながら彼は呟く

「別れてください」

そして冒頭に戻る

頭で理解するまでにどれくらいかかっただろう
5分かもしれないし もしかしたらすぐ理解したかもしれない
ただ、戸惑っていた

「え……?」
「だからね、そろそろ終りにしたほうがよくないかなって」
「え……僕…何か4号にしましたか」
「いやそういうんじゃなくてさ……ほら男だし……」

そんなの最初から分かっていたはずだ 最初の時にそれは互いに了承したのだ
だったらなんだろうか。他に好きな相手でもできたのだろうか それとも飽きたのかもしれない

いや、恐らくどちらも当てはまらない 彼は自分の気持ちはしっかり伝える子だ
例えそれがどんなことであってもちゃんと真っ直ぐに伝えるのだ
こんなふうに目をそらしてどもらない。

「そんなのわかってますよ。それでも僕は」
「いや、でも駄目だよ。うん。やっぱし」
「……ちゃんと理由を話しなさい」

4号が目に見えて怯える 苛立ち始めていたかもしれない

「だ、だから!!! 俺もしど兄も男だし、し、しど兄もそろそろ結婚とかさ!ア、アハハ」
「4号!」

否、確実に苛立っていた

気づいたら硬い床に押し倒していた
逃げられないように手を床に括るように押さえていた
4号が狼狽えているのも怯えているのも気にしていなかった
自分の喋り方が素に戻ったのも気づかなかった
それだけ余裕がなかったのだ

「し、しど…… 」
「4号、ちゃんとわかるように話して。
俺がちゃんと納得する理由を それまでは離さないから」

そこまで言うと4号は静かに泣きだした
泣き声をあげるわけじゃない 静かに声を殺して

「えっ よ、よんごう!?ご、ごめん!!!!」
「だって 」

口を開いた

「だって、俺のわがまま、にしど兄は付き合って、きて、くれて
ック……ッこんな風に、なるとかっ……思ってなくて」
「………うん」
「俺だってっこ、こんな……こんな風になると思わなくて」
「…………ん」
「冗談のつもりだ、って……ヒック 遊びのつもりだってぇ…だからこんなに」

好きになると思わなかった

嗚咽混じりで聞き取りにくいが言いたいことはなんとなく伝わった

自分のわがままにこの兄は付き合ってくれた
しょうがないなぁっていつもみたいに
だから、自分も遊びだったのだ ごっこだった。
だから、ここまで深く落ちると思って無かった
だから、こんなに溺れるなんて
だから、こんなに本気で好きになるなんてないと思ってた

「…ッでも……しど兄は遊びで付き合ってくれたから……だからいつまでも
………こんなの続けちゃいけ、ないってッ……早くやめなきゃって」

好きだから、惜しくないうちに、終わらせないと
これ以上溺れぬように線を引かないと

「ごめん……勝手で」
「4号」

ゆるりと4号の腕を引いて起き上がらせる
そのまま抱きしめる 小さい

「遊びなわけないじゃない」
「え……」
「俺も本気だったよ、いつからかはわからないけど」

でも恐らくこの子よりは確実に早く自覚していた

この可愛い弟のような子を好きなこととか
ちょこちょこついてくるだけじゃ駄目だとか
他の誰かの所に行くとか考えると嫌になるのも

この小さな恋人に全部自分が教えたい

「4号、変なこと考えなくていいよ。不安になったら俺のところにおいで
話聞くよ。それでちゃんと傍にいるから」
「っ………ごめん、まだ好き」
「うん、俺も好き」

腕の中で小さく震える背中を抱く手に力をこめる

「やめれないのは、俺の方だな」
「?」
「ううん。なんでも」

不安そうな彼に首を横にふると嬉しそうに笑った

「4号もしかしてそれが気になってご飯食べれなかったんですか?」
「う、うっせーよ!!!ちげえよ馬鹿兄!!!」
「恥ずかしがらなくていいんですよ」
「ちーがいますぅ!!!」

恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら怒ってみせる
よかったいつもの4号だ

「何か食べに戻りますか」
「あーでも多分さび姉相当呑んでたから何も残ってないとおもう」
「あー………じゃあ何か買いに行きましょう。」
「!!! 肉!!肉食いたい!!」
「今から!?」
「うん!!!それかおでんとか!!」
「あはは、じゃあコンビニいきましょう。財布取りに行くので先に玄関で
待っててください」
「うん!!」

パタパタと嬉しそうにかけていく背中を見送る


「……俺は自分でおもってるより、溺れてるかな」

もしかしたら本当に彼を手放すときに離すことができないのは自分かもしれない
思ったより自分は彼に依存して溺れてるかもしれない
まぁ、それはそれで良いだろう
そういうことにして財布を取りに部屋に向かった









どれだけ線を引いてもいい
不安になった数だけ予防線を引けばいい
その数だけちゃんと越えていくから
うん。きっとそう









ライン


- - - - - - - - - -
これしど4でやる意味あんのか。

こう4号のが好きなふうに見えて依存してるのはしどのこみたいな。

多分しどのこ→19 4号→14
くらいかなって。五歳差くらいがちょうど良い。

4号は最初は周りにカップルが増え始めてイライラしてて
「あー恋人ほしい…リア充まじ………もうこの際男でも女でもいいわ」
ってふとつぶやいたらしどのこに
「じゃあ僕にしときます?」とか言われて
「アハハ、しど兄ならいいよ。うん。好きだもん」
みたいな。自分の中での好きはただのお兄ちゃんへの家族愛みたいのだと思ってて
恋人ごっこ始めてから恋だと気づくんです。

しどのこは最初から4号好きだったけど自覚してなかった

しど4が好きです。マイナー以前の話だけど
ありがとうございましたー
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