何だろう
確かに
前も後ろもわからない暗闇にいたのだ
自分一人だったのだ
それでも何かのプレッシャーで潰れかけていたのだ
それなのに
『日の当たるところ』
「柔兄?」
3月中旬 ここのところ暖かい日が続いて長かった冬の終りが見え始める
たぶんあと2週間もすれば一番下の弟が長期休暇で戻ってくるだろう
そんなことを考えながら縁側に座り込んでいたら後ろから呼ばれる
振り返るといたのは5つ年下の弟だった、ギターケースを担いでいるから
恐らくバンドの練習なんだろう
「何、どしたん」
「いや、なんか疲れとんのかと思って」
「あー……」
ここしばらく任務が立て続いていたし、それのせいだろう
自分でもいまいち気付いていなかったのに、この弟は昔からよく気が付く
突っ走ってるように見えて 見えるところは見てるのかもしれない
「せやねん最近忙しかってん。よう気付いたなぁ 」
「え、いや何となくやけど」
……前言撤回だ ただのアホだ
「まぁええわ。どっか行くんか」
「練習やねん、多分遅くなるわ」
「そうか」
家族が全員出掛けている今 金造も出掛けるとなると一人なのか
「ちゃんと火の元とか鍵気を付けんのやで?
メシもちゃんと食うんやで!あと……」
「うっさいわお前よりそこらへんちゃんとしとるわ!!!オカンかお前!!」
そうつっこむと楽しそうにケラケラ笑う
「わぁっとるよ。冗談やって。じゃ、いってきます 」
「おん。気を付けんねやで。」
「へーい」
そう軽く返事をしてぱたぱたと廊下を玄関に向かって歩いていった
さて、彼が帰るまで何をしようか。
せっかくだから二人で夕飯にしようと思った。言うのを忘れたからあとでメールでもすれば良いだろう
冷蔵庫に何があったかな 何か買ってきてもらおうか
そんなことを思っているうちに春の暖かさも手伝って気づくと意識を手放していた
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
見えないプレッシャーと回りから
じわじわと潰されていた
「矛造のいない今お前が志摩を引っ張るんや」
うん
「矛造さんのかわりに頑張らんとね」
わかっとる
わかっとんねん
そんな自分を助けたのは誰だ
無邪気な笑顔と
自分を呼ぶ声と
それと 小さな 温かい
「……にぃ」
「……ん」
「ちょぉ、柔兄てば起きいや」
誰かに呼ばれた気がして目を開けるとさっき出かけたはずの金造が覗き込んでいた
「ぇ………あれ…金造……お前練習どないしてん」
「もう終わったわ。何時や思ってん」
「………何時や」
「21時」
「はぁ!?」
ちょっと待て そうすると自分は何時間寝ていたんだ
確か金造が出掛けたのが15時前だったはずだ……
6時間………
「しくった………」
「そんだけ疲れとんのやな」
「色々やろうと思ってたんや………うわ」
昨日のうちに終わらなかった事務作業とか色々と休みのうちにやるつもりだったのだ
それを自分は寝ていたのか
一気にやる気が失せて仰向けに倒れる 悪いのは自分だけれど
「まぁええんとちゃうん?」
そう言いつつ金造がすぐ側に座る
「最近仕事忙しかったんやろ?ならええよ。たまの休みくらい。
仕事とか色々放っといて好きなことしたりしてもバチ当たらんよ」
そういって金造は頭を撫で始める
自分の手よりいくらか小さくて細い
「柔兄は頑張りすぎやねん。もっと楽してええねん」
あ
そうだ
自分を救ったのは
この手とこの笑顔とその言葉なんだ
「まぁ俺なんて仕事溜めすぎてバンドやってる場合ちゃうけど!!」
「おい。それ誰がやる思っとんのや」
また楽しそうに笑う。
「……金造に救われてばっかやな」
「えぇ?」
「昔……矛兄がいなくなって……俺が跡取りになるってなって
色々と急に舞い込んでくるから……正直きつかってん」
「………うん」
「でも回りは誰も心配なんかしてくれへんし、むしろもっと頑張れって
言ってたのに金造だけはいつも頑張らんでええよって」
「………覚えてないわ」
「それでもいい」
それでもいいよ。それでも俺は救われた
確かに背中の重荷は軽くなったから。
温かい手と笑顔とその言葉だけで救われる
「あー……偉そうなこと言ったんやなぁ……恥ずかしい」
「……偉そうでも何でもないわ。金造」
「ん、」
「ありがとう」
「……こちらこそ」
もし、この先 辛いことがあるかもしれない
少しだけ明るくなった暗闇がまた暗さを増すかもしれない。
それでもいい
君がまた救ってくれるだろう
君がいれば、それでいい
君がいたらそこがどんなところでも 暖かい柔らかい日が降り注ぐから
その間は 自分は 救われるだろう
「金造夕飯食ったか」
「食ってない!!出てくるとき冷蔵庫なんもなかったから牛丼買ってきた!」
「今から肉か………まぁええわ。よっしゃ! 飯にすんぞ!!」
「よっしゃー!!」
嬉しそうに金造が牛丼の入った袋を持って走り出す
廊下走るなとか言っても聞かないだろうな
そう思って溜め息を吐いてその揺れる金髪を追いかけた
日の当たるところ
一番書きたかった柔金がかけた。満足
牛丼食べたいね。おやすみなさい
確かに
前も後ろもわからない暗闇にいたのだ
自分一人だったのだ
それでも何かのプレッシャーで潰れかけていたのだ
それなのに
『日の当たるところ』
「柔兄?」
3月中旬 ここのところ暖かい日が続いて長かった冬の終りが見え始める
たぶんあと2週間もすれば一番下の弟が長期休暇で戻ってくるだろう
そんなことを考えながら縁側に座り込んでいたら後ろから呼ばれる
振り返るといたのは5つ年下の弟だった、ギターケースを担いでいるから
恐らくバンドの練習なんだろう
「何、どしたん」
「いや、なんか疲れとんのかと思って」
「あー……」
ここしばらく任務が立て続いていたし、それのせいだろう
自分でもいまいち気付いていなかったのに、この弟は昔からよく気が付く
突っ走ってるように見えて 見えるところは見てるのかもしれない
「せやねん最近忙しかってん。よう気付いたなぁ 」
「え、いや何となくやけど」
……前言撤回だ ただのアホだ
「まぁええわ。どっか行くんか」
「練習やねん、多分遅くなるわ」
「そうか」
家族が全員出掛けている今 金造も出掛けるとなると一人なのか
「ちゃんと火の元とか鍵気を付けんのやで?
メシもちゃんと食うんやで!あと……」
「うっさいわお前よりそこらへんちゃんとしとるわ!!!オカンかお前!!」
そうつっこむと楽しそうにケラケラ笑う
「わぁっとるよ。冗談やって。じゃ、いってきます 」
「おん。気を付けんねやで。」
「へーい」
そう軽く返事をしてぱたぱたと廊下を玄関に向かって歩いていった
さて、彼が帰るまで何をしようか。
せっかくだから二人で夕飯にしようと思った。言うのを忘れたからあとでメールでもすれば良いだろう
冷蔵庫に何があったかな 何か買ってきてもらおうか
そんなことを思っているうちに春の暖かさも手伝って気づくと意識を手放していた
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
見えないプレッシャーと回りから
じわじわと潰されていた
「矛造のいない今お前が志摩を引っ張るんや」
うん
「矛造さんのかわりに頑張らんとね」
わかっとる
わかっとんねん
そんな自分を助けたのは誰だ
無邪気な笑顔と
自分を呼ぶ声と
それと 小さな 温かい
「……にぃ」
「……ん」
「ちょぉ、柔兄てば起きいや」
誰かに呼ばれた気がして目を開けるとさっき出かけたはずの金造が覗き込んでいた
「ぇ………あれ…金造……お前練習どないしてん」
「もう終わったわ。何時や思ってん」
「………何時や」
「21時」
「はぁ!?」
ちょっと待て そうすると自分は何時間寝ていたんだ
確か金造が出掛けたのが15時前だったはずだ……
6時間………
「しくった………」
「そんだけ疲れとんのやな」
「色々やろうと思ってたんや………うわ」
昨日のうちに終わらなかった事務作業とか色々と休みのうちにやるつもりだったのだ
それを自分は寝ていたのか
一気にやる気が失せて仰向けに倒れる 悪いのは自分だけれど
「まぁええんとちゃうん?」
そう言いつつ金造がすぐ側に座る
「最近仕事忙しかったんやろ?ならええよ。たまの休みくらい。
仕事とか色々放っといて好きなことしたりしてもバチ当たらんよ」
そういって金造は頭を撫で始める
自分の手よりいくらか小さくて細い
「柔兄は頑張りすぎやねん。もっと楽してええねん」
あ
そうだ
自分を救ったのは
この手とこの笑顔とその言葉なんだ
「まぁ俺なんて仕事溜めすぎてバンドやってる場合ちゃうけど!!」
「おい。それ誰がやる思っとんのや」
また楽しそうに笑う。
「……金造に救われてばっかやな」
「えぇ?」
「昔……矛兄がいなくなって……俺が跡取りになるってなって
色々と急に舞い込んでくるから……正直きつかってん」
「………うん」
「でも回りは誰も心配なんかしてくれへんし、むしろもっと頑張れって
言ってたのに金造だけはいつも頑張らんでええよって」
「………覚えてないわ」
「それでもいい」
それでもいいよ。それでも俺は救われた
確かに背中の重荷は軽くなったから。
温かい手と笑顔とその言葉だけで救われる
「あー……偉そうなこと言ったんやなぁ……恥ずかしい」
「……偉そうでも何でもないわ。金造」
「ん、」
「ありがとう」
「……こちらこそ」
もし、この先 辛いことがあるかもしれない
少しだけ明るくなった暗闇がまた暗さを増すかもしれない。
それでもいい
君がまた救ってくれるだろう
君がいれば、それでいい
君がいたらそこがどんなところでも 暖かい柔らかい日が降り注ぐから
その間は 自分は 救われるだろう
「金造夕飯食ったか」
「食ってない!!出てくるとき冷蔵庫なんもなかったから牛丼買ってきた!」
「今から肉か………まぁええわ。よっしゃ! 飯にすんぞ!!」
「よっしゃー!!」
嬉しそうに金造が牛丼の入った袋を持って走り出す
廊下走るなとか言っても聞かないだろうな
そう思って溜め息を吐いてその揺れる金髪を追いかけた
日の当たるところ
一番書きたかった柔金がかけた。満足
牛丼食べたいね。おやすみなさい
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